2010年より毎年度、海外における中小企業の調査・研修事業を実施している。


2023年 台湾調査・研究

台湾調査・研究として、2023年6月3日~7日まで現地視察を行い、以下をご訪問した。

・日本台湾交流協会

・清水建設株式会社 台北営業所

ご多忙のところ丁寧なご説明、意見交換をいただき、心より感謝申し上げます。

 

<視察研修のレポート>

TSMC(台湾積体電路製造)や UMC(聯華電子)に代表されるように、今やファンドリービジネスは台湾の代名詞となった。台湾経済は2021年6.45%、2022年は4.42%とコロナ化にあって高度な成長を続けている。街をみれば、昼も夜も人があふれ、工場団地は土地を探すのに苦労し、台北市内のマンション価格は70平方メールうで3億円という。とても一般のサラリーマンは手が出ない価格だ。経済発展につれて工業団地開発は、IT企業の中心地新竹市を通り過ぎ、台中市、台南市に開発が迫っている。新幹線から見る新竹市のマンション風景は見る人を圧巻するが、そこにはサイエンスパークを中心にICT関係の企業が集積しており、その社員達が住まいする。

台湾の人口は日本台湾交流協会資料によれば、2022年12月末日時点で2326万人、面積36,197km(日本の九州よりやや狭い)である。1人当たりGDPは32,643ドル(2022年IMF推計、日本は33,822ドル)。日本との経済関係は、台湾経済に占める輸出は4,795億ドル(前年比15.1%)で電子部品が全体の42%、輸入においては、4,276億ドル(前年比-2.7%)で電子部品が全体の23%を占める。在留邦人は21,434人(2022年12月末)、台北市日本工商会会員企業は490社という。ホンハイやTSMCに見られるごとく、わが国と台湾の関係は特に電子部品とのつながりが深いことがうかがい知れる。部品や材料は日本からの輸出が多いが、台湾のIT技術ははるかに日本を上回っており、TSMCの熊本進出に見られるごとく、台湾と日本との関係はますます深まってゆく。

 

台湾には多くの日本企業が進出しているが、消費市場における特徴は、「単なる安さは重視せず、良い品ら適正対価は支払う、新しもの好き、移り気、コスパ重視、消費に積極的、日本リピーター多し、日本ブランド熟知」などの特徴がある。生産地としては「物流機能が発達しており、労働者の質が高いわりに賃金が低い、大陸や東南アジアに華人のネットワーク、電気代・交通費などインフラコストが低水準、安価で良質なサプライヤー、電気電子産業が発達、水不足、電力不足の心配」などがある。生産地としても消費市場としても、親日的であり、日本にとっては、商売がしやすい利点があり、隣国の友人として大切な関係を深めたい。

世界の心配?をよそに、更なる発展を遂げる台湾だが、産業界は台湾「6欠」を挙げている。それは1.電力不足、2.水不足3.労働力不足4.人材不足5.産業用地不足6.廃棄靴処理場不足の問題である。しかしそれらを乗り換え、政府・産業界が取り組んでいるのが、6代革新戦略産業であり、経済発展のための新モデル2.0計画である。特にスマート国家プラン(DIGI+)2021年~2025であるが、抜粋すると、デジタル基盤(・5Gカバ-率85%、・超高速ブロードバンド(2Gbps)カバー率90%、・Beyondoを見据えた低軌道衛星を1基作成であり)、デジタルイノベーション、デジタルガバナンス、デジタル包摂 と力を入れている。デジタル国家のリーダーとして、今その目標達成に向かって走っている。

さて、台湾であれば「今日のウクライナは、明日の台湾」に触れなければならない。日本のメディアや評論家は喧しいほどであるが、現地台湾の人は意外に落ち着いている風であった。中国は1つ、台湾はその一部であるとする中国、力に任せて現状の平和を乱す行為は断固して認められないとする米国を中心とする西側諸国の争いは、佳境を見せつつあるように見える。ウクライナと台湾の地政学の違い、海に囲まれているという風土、中国と台湾の軍事力、半導体生産世界1の実力(とりわけ10ナノ以下の先端半導体の製造拠点では世界の92%を占める)を有する国はアメリカが守る、政治が民進党、国民党どちらの政党になっても大きな方向は変わらないなど、地元では現状の状態が続くと考えているようだが、いつ何が起きるかわからないのが歴史のあやである。台湾は、沖縄県の目前にある(最短の与那国島とは111KM)。有事の際には他人ごとではない、我が国としても重大な関心を保持する必要があるだろう。

2023年6月14日

 

文責 関本征四郎


2019年 インドネシア共和国調査・研究

東南アジア南部、面積は約190万平方kmで日本の約5倍、1万数千という大小さまざまな島で構成されている。首都はジャワ島にあるジャカルタで、人口は2億5756万人、マレー系を中心に、300以上の民族が暮らす多民族国家だ。16世紀以降、香辛料貿易の支配権をねらうオランダやイギリスによって過酷な植民地支配下に置かれるが、1949年に独立。現在は東南アジア諸国連合(ASEAN)の盟主国として、アセアン本部をジャカルタにおく。 
日本からも企業が多く進出している。バリ島やジャワ島などのリゾート地、歴史的建造物や遺跡、音楽、料理、手つかずの自然など、多彩な魅力に溢れる。

調査・研究視察訪問は2019年6月24日~6/29日である。
 ・JETROインネシア事務所 
 ・ジャカルタジャパンクラブ(日本人会・商工会議所)
 ・AIMジャパン(ジャカルタ)
 ・JAPANレストラン経営「炎丸」
 ・住友工場団地「EAST JAKARTA INDUSUTRIALPARK」

最初に訪問したジャカルタジャパンクラブは日本人会(3000人)と法人部会(日本での商工会議所-700社))の2つの役割を持っている。現在の富澤事務局長は日本商工会議所からの出向、ジャカルタで活躍する日本人の方々を陰に日向に支援、毎日多忙な日々をおくっている。
AIMジャパンは公益財団法人 国際人材育成機構 (略称/アイム・ジャパン)は、インドネシア共和国労働省、タイ王国労働省、ベトナム社会主義共和国労働・傷病兵・社会省、バングラデシュ人民共和国海外居住者福利厚生・海外雇用省及びスリランカ民主社会主義共和国海外雇用省から強い要請を受け、1993年5月の受入開始以来、累計56,000名を超える政府選抜の技能実習生を受け入れている。実習生は日本の優れた技能・技術に加え、世界一流の労働慣行・品質管理等を修得して帰国し、これまでに、7,000名以上のアイム・ジャパン帰国生が母国で起業し、故郷の若者に日本の技術を伝えている。この活動は最初にインドネシアから始まり、今までの90%の実習生の実績を保持する。訪問時は、介護人人材の日本語教育を実習中であり、礼儀正しく、とても厳しい訓練風景を垣間見ることが出来た。(岩田事務所長、ご担当藤田真吾様) 

 

EJIPは1990年日系の工業団地として早い時期から開発を進め、現在トータルエリア320ha、テナントは89社が入居ている。数多くの工業団地の中でも入居待ちの企業がいる人気の高い団地である。 ジャカルタ東地区の交通渋滞は世界有数であるが、団地同志が協力をして、団地を囲む物流道路を設置したという。進出企業群の国と共に歩む強い意志を確信した。


2018年 中国上海の中小企業調査・研究

 躍動する中国・上海を視察した。人口2400万人、周辺を含めると3000万人を超えるメガロポリスである。

ITの深化は自他ともに世界一を誇る。キャッシュレス文化はほぼすべての市民にいきわたり、市場や」コンビニエンスストアで元を使うのも気が引ける。10年前から始まったネット購入は、今や50%を超えるという。キャッシュレスとネット購入を急速に受け入れる社会のあり様は、我が国の個人情報保護における市民の想いと合わせ、脅威の社会構造である。

中国のモービル利用率はアメリカの3倍と聞く、もう4Gから5G(第5世代移動通信システム)を見据えて走っているようだ。入管時の指紋登録と顔認証、地下鉄19路線と各駅のセキュティチェック等、社会インフラへの取り組みの速さを痛感した。上海人の間では、日本は既に先進国ではないという? 

消費はミレミアム世代(1980~2000年生まれ)がリード、ゲームに打ち込み、ネットで購入~即デリバリー、男女交際は面倒くさい、キャッシュレス社会と、日本の旧世代から見るともう異邦人の世界だ。一人っ子政策から二人っ子政策に変わり、国の政策も変化しているが、若い男女が付き合わないと聞いて、20年後の中国がとても気になった。社会問題では、環境と健康に大きな関心があり、国を挙げてこの改善に取り組んでいる。我が国がサポートできるとしたら、この辺にあるのではないか。 

中国コーセーを訪問、日本の高額化粧品メーカーを代表する同社であるが、中国での成長発展を継続中である。化粧品の市場は6兆円、日本の高級品が飛ぶように買われる。化粧品に限らず世界の高級品市場の32%を中国人が購入するというデータがあるそうだ。その高級品の購入形態は海外で68%、中国内で32%という。世界の工場から世界の消費の国に変貌しつつある様を目の当たりにした。

 

視察研修の大きなテーマである介護施設を視察した。中国にある施設は約800カ所、その大半は有料老人ホームだという。訪問した施設は静安区にあるが、この区は上海市の介護におけるモデル地区とのこと。本施設は区のモデルとして公設民営で設置された施設であるが、利用料は6人部屋で月5~6,000元、3人部屋でプラス1,500~2,000元、現在の上海における平均月収が8,000元とすると、利用できるのはやはり高所得者となる。家族の在り様、国の施策、介護スタッフの現状などの詳細を関係者からレクチャーを受け、中国における介護サービスの現状は我が国と比べると、まさに黎明期と言える。日本の施策やサービスが高価値で利用者にとっていかに恵まれたものであるかをあらためて認識した。 

下写真は上海の高層マンションが並ぶ中心市街地である。日本の丸の内や新宿西口の高層街風景が上海のいたるところに林立する。


2017年 ミャンマー国の中小企業調査・研究

JICAヤンゴン事務所にて、ミャンマーの産業、経済の状況、課題等について話を伺う。ミャンマー自由化後の2012年同国を訪問した経験を持つものとして、その後の国の進展は非常に気になるところ。その他、ティラワ工業団地にてミャンマー丸紅飼料、ヤンゴン市内のMIRAIT社を視察訪問した。

バガンでは、僧侶が支えている市民生活の様子を垣間見た。


2016年 ロシア極東部地域の中小企業調査・研究

( ウラジオストク、ハバロスク,イルクーツク)

視察訪問先の中で、ウラジオストクのアパートメントの窓枠を製造販売する企業は外注無ですべて一貫して自社で行い、カイゼンに取組大きな成果を挙げている(E 社)、自動車部品、アクセサリーを主に扱い、経営理念の共有、マーケテイングで大きな業績を上げている(U 社) は特記すべき企業であった。


2015年 中国華南エリアの中小企業調査・研究

大発展を遂げた香港、そして広州の状況を視察した。香港から広州に向けては高速鉄道に乗車し、広州ではマーケットなどを視察し、商業都市としての姿と、歴史と文化が融合する観光都市としての姿を確認した。


2014年 ベトナム北部エリアの中小企業調査・研究

近年、急激な発展を遂げ、外国企業の進出が著しいハノイ周辺を視察した。大規模な道路建設、新興住宅街や大型ショッピングセンターの建設が顕著であった。第2タンロン工業団地を訪問し、工業団地概要について説明を受けたのち、レンタル工場、日系企業K社を視察させていただいた。

 


2013年 タイ国の中小企業調査・研究

日本大手化粧品メーカー子会社代表として、タイ駐在経験の長い関本の案内で、バンコク、チェンマイを視察した。市内を公共交通機関を使って回り、市内マーケットや食堂などをめぐる他、日本から経営支援に来ているコンサルタントと懇談も行った。


2012年 中国北京・天津市周辺の中小企業調査・研究

2010年 韓国ソウル市周辺の中小企業調査・研究

2010年

韓国